常人の倍香辛料振る方です

四十代の主婦のブログ。夫と二人暮らし、ウサギと3人暮らしの日々をつづります。

人生で一番美しい約束は…「イタリアン・シューズ」ヘニング・マンケル

とっても良い本を読みました。

きっと、このブログからこの本を

読もうという人はあまりいないと思うので

もう、ジャンジャンネタバレします!

(愛読しているブログでそうやって

ネタバレしていたのを真似してみた)

 

ヘニング・マンケル
イタリアン・シューズ 

 

主人公はけっこうダメなおじさんです。

66歳なので"おじいちゃん"の

方が正しいかしらね。

この辺で自分の年齢がわかるよね。

 

主人公のフレドリックは自分勝手で

卑怯で情けない人なんだよね。

でも、自分自身にそういう所を

見出せない人なんていないだろうから

だれもがこの主人公の情けなさに

苛立ちながらも自分を重ねて

読めるんじゃないかと思う。

 

もう本当にネタバレしちゃうからね!!

主人公のフレドリックは元外科医で

10年以上前に医療ミスをした時に逆ギレ

して、今では誰も住む人のない離島で

ひとり引きこもって生きていました。

 

群島の最果ての孤島にたった一人で

住む、と表現されていました。

翻訳の柳沢さんがまた

すごくイイんだよね(*'ω'*)

 

罪を認めてないっていう訳でもなく

罪に問われたわけでもなくもうホント、

逆切れとしか言いようのない感じで

引きこもり始めたみたいなんですよ。

 

そこへ37年前に自分が捨てた恋人、

ハリエットが氷の上を歩行器に

頼って訪ねてきます。

もう、ホラーだよね!

 

捨てた経緯っていうのもまた

どうしようもなく情けなくて

クズ男なんだよね。

 

訪ねてきたハリエットは

癌に侵されており、死を前にして

彼女の人生で一番美しい約束を

果たしてほしいとフレドリックを

訪ねてきたのでした。

 

ハリエットの人生で一番美しい約束

とは、暗い森の中の名もない小さな

真っ黒な湖を見に行く事でした。

 

わりとあっさり湖は見付かって

約束は果たされてしまいます。

あれ、まだ3分の1ぐらいしか

読んでないけど…って思ったら

本番はここからだったよ!

 

やぱりあまりにも素晴らしい小説

だったからネタバレするする詐欺に

しようかな…どうしようか…。

 

たぶんいずれ映画化するだろうから

小説読まなくても映画見る人は

いそうだしなぁ!どうしよう!

 

と言う訳で予定を変更して

話の一番のミソは伏せて、

若干読んだ時の感動が

薄れるかもしれないけど

よねこがすごくイイ!と思った

シーンを紹介しようかな。 

 

この後、色々あってフレドリックは

何人かの人と関りを持つ事になります。

そして、ハリエットを捨ててから

何十年も逃げて閉じこもって

生きてきたことをはじめて後悔します。

 

”シマ”の話

 

出会った人々の中で私が一番

印象に残っているのが

”シマ”という少女でした。

日本刀を持っているしもしかしたら

日本人なのかもしれない。

 

保護施設にいた少女で、

モーターボートを盗んで

フレドリックの島に

言った通りに現れます。

 

この島に現れる女性は

みんなホラーだよね。

60男の所に親戚でもない

10代の女の子が来るってだけでも

若干ホラーだと思うけど、その上

日本刀ですからね。盗んだボートで。

 

この後、悲しい結末をたどることに

なってしまうんだけど、私にはこの島を

…フレドリックを訪ねた事で

シマは救われたんだろうと思うのです。

 

フレドリックがただ卑怯で

自分の事しか考えてない人間では

なかったと証明されたような気がして、

シマはかわいそうだったけどフレドリックを

救いもしたのだとよねこは思いました。

 

犬とネコの骨の話

フレドリックは犬とネコ、そして

家の中に巨大なアリ塚を飼っています。

蟻塚は飼っているっていう訳ではなく

勝手にできたのを放置したら大きくなった

と言う所だと思うけど、それを撤去せず

置いておくのは飼ってるのと一緒かな。

 

犬は物語の中盤で死にます。

そして猫もそのあとどこかへ

消えてしまいます。

 

ハリエットと湖を探しに行ったときに

出会った犬をその後、引き取るのですが

その犬が最後に猫の骨を拾ってきます。

このシーンが素晴らしいんですよ。

 

とうとう猫が私のもとに帰ってきた

という悲しみが、私の胸に広がった。

 

私は日誌に短く書いた。

「犬、骨、悲しみ」

 

この物語のハイライトは

夏至のパーティーなんだけど

それを書いちゃうと読む楽しみも

映画を見る楽しみもなくなっちゃう

と思うので、ここは内緒にしておきます。

 

10年、死んだ様に生きてきた

フレドリックだったけど、

当然死んでたわけでもなく、

10年無駄にしたわけでもないと思った。

人は立ち止まることがあっても

いつでも歩き始められるし、

生きてるだけで大したもんだと思った。

 

でも、それでも自分と向き合う事だけは

やめちゃいけないんだな、そう思いました。

 

本当に素晴らしく美しい物語

なのでどうか読んでー!

 

映画化はラッセ・ハルストレム監督で

お願いします。
超名作になるのが目に浮かぶよ!

 

8年後を描いた続編があるそうなんでけど

日本ではまだ出版されてないんですって。

柳沢さん、お忙しいと思うけど

どうかよろしくお願いします。

楽しみにしています。